強さと、弱さと、喜びと、悲しみと…

世の中には、信じられないくらいドラマチックな人生を歩む人がいる。
オランダでは「メイベル・ウィッセ・スミット」がその人では
ないだろうか。そう、メイベルとは、先日雪崩に巻き込まれて重体と
なってしまったヨハン・フリーゾ王子の妻である。

本日、医師団が記者会見し、王子は現在も昏睡状態が続いており、
今後、彼が意識回復するのかどうかの判断はまだつかず、
現時点では彼がどうなるのか誰も分からない状態なのだという。

王子であるだんなさまがこんな状態になってしまった悲劇の妻、
メイベル・ウィッセ・スミットさんの現在のお気持ちは、と
考えると、本当に思いつく言葉もない。

メイベルさん - 現在43歳である彼女の人生は、実は今までも
波乱づくしであった。

彼女は9歳のときに父親を亡くしている。そんなことがあるのか、と
思ってしまうが、死亡理由は、やはり冬スポーツの事故。
運河をスケート中、薄氷に突っ込み、溺れてしまったことによる。
時に父は33歳。若い。若すぎる。

幼い頃の父親の死は、彼女に少なからず影響を与えている。
母親はすぐに再婚し、父親はできたが、ティーンの頃は、
人生なんて…とやけっぱちになってしまったり、将来のことを
案じたり…実は彼女は大学生の頃、15歳も年上のオランダの
麻薬ディーラーの王の愛人だった期間があるのだが、
これももしかしたら、突然の最愛の父の死、が関係しているのかも
しれない。

しかし、このイケナイ関係が、のちに国中の議論を巻き起こす
原因になる。

もともと頭のよい・強い女性なのであろう。
彼女は、アムステルダム大学で経済・政治を学び、90年代に
紛争状態にあったバルカン半島関連の紛争解決機関で働く。
ここから徐々に彼女の能力を発揮し、紛争地帯の子供たちを
助ける非政府組織を立ちあげたり、国連やEUの人権問題
関連組織で働き、ある経済フォーラムは彼女を
「将来の世界的なリーダーの100人」の一人に選んでいる。

ちなみに、彼女は王子と結婚して、子供が生まれた後も、
世界の人権問題・貧困問題などを扱う非政府系のシンクタンクで
チーフ・エグゼクティブとして活躍している。
まさにスーパー女性なのだ。

フリーゾ王子と結婚したのは、2004年。
この結婚は、オランダ中に大議論を巻き起こす「大問題」結婚であった。
問題となったのは、やはりかつての麻薬王との関係である。
さらにかつての彼女の交友関係を探れば、金融スキャンダルで
逮捕された元国連大使との不倫関係…と、とんでも女性としての烙印が
押されてしまった。

私もすでにオランダに住んでいたので、今でもこの騒動を
覚えているが、まさにマスコミの彼女の扱いは

「王子をたぶらかしたうさんくさい悪女」

そのものではなかっただろうか。
オランダ語も良く知らぬ、オランダのこともよく知らない私が
「この女、怪しい…」と思ったくらいなのだから、
オランダ人は相当不快感があったに違いない。
長男アレクサンダーの妻、マクシマ王女は本当に人気があったので、
誰もがこの二人を比べて、「あーあ、、、」と思ったことであろう。

結局、オランダ議会は二人の結婚を承認することができず、
当時皇位継承第2位であったフリーゾ王子は、
継承権を捨てて、メイベルと結婚することになった。


wedding.jpg

王子の結婚式にしてはこじんまりした結婚式。

ベアトリックス女王もカワイイ息子のために結婚式に出席したが、
世間の目は、

「王子の継承権を放棄させたとんでも女」

だったと思う。とにかくメディア・国民の声は不満げで、
多くの方に祝福されたとは言い難い。

結婚後、二人はオランダに住居を構えることを諦め、
イギリス・ロンドンで新婚生活を始める。
王子もイギリスで職を得て、彼女と共働きの生活。

幸運だったことは、結婚してすぐに子供が出来たこと、
ではないだろうか。それほどお若いお二人、というワケでも
なかったと思うが、「でき婚」かと思えるほどすぐにご懐妊。
出産後にもすぐ2人目を妊娠し、結婚二年で、二人の女の子の
母親になることができた。

麻薬ディーラーとの関係は過ちだったにせよ、彼女は
もともと賢い女性なのである。最初は大反対の論調・メディア・
政府そして王室であったが、だんだんと雪解けしていった
ような気がする。気がつけば、女王の日などの重要な日の
イベントには彼らも参加するようになり、私なんぞは
「あれ?この人たち、まだ王族?」などと思うようになった。
メイベル王妃などと呼ばれるので、いまだによく分からないが
一応正式の名前は「オラニエ・ナッサウの王女」らしい。

今回のオーストリアのスキーも、オランダ王室の恒例の
冬のバケーション行事であった。家族皆で揃い、
女王(おばあちゃん)・息子たち兄弟とその家族でスキーを
楽しむ予定だったのだが、雪崩事故によって華やかな王室の
バケーションは暗転。

そして、本日の発表に至った。

今日の発表で、国民は内容が分かったので、ニュースはひとまず
終わりなのかもしれないが、彼女、そして家族にとっては、
ずーっと続く問題である。

現在は、子供たちにはなるべく普通の時間を、と、スキースクールにも
参加させているようであるが、自分が幼い頃味わった思いを
娘たちにもさせなければいけない彼女の母親としての思いは
どんなものであろうか。

今後、どのようになるのだろう…そう考えると、本当に重い。
波乱のメイベルさんの人生、彼女にとっては本当に過酷な
日々が過ぎていくことになるのだと思うが、少しでも…
安らぎをもたらす一瞬が彼女に訪れるように祈らずにはいられない。



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| | 2012.02.25 20:51
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そらのくも | URL | 2012.02.26 04:37
☆ 鍵コメさん、

人やメディアによっては「もうダメ」と言っているみたいですね。
日本の新聞記事もインターネットに載っていた分は見ましたケド、
あまりに短い記事で良く分からない感じですよね。
実際のところは、まだ今のところは判断できない、ということみたいです。

風邪の予防、是非試してみてくださいね。
だんなの風邪も、ようやく回復基調ですが、私も今のところ移ることなく
大丈夫です。
ふうせん | URL | 2012.02.26 05:47
本当今回の事故には私も驚きました。
一週間前、このニュースが入ってきたとき、すぐに救出されたし、オーストリアの有能な医者が診てくれているようだから、大丈夫なんじゃないのって感じで受け取っていました。だけど昨日の記者会見を見る限り、ああもうだめなのかなと思いました。女王ヤメイベルさんはじめ、王室の方が面会を終えたところもみましたが、みんな悲しみにあふれている様子が伝わってきました。
何十年もつづいていた王室恒例の行事でこんなことがおこるなんて本当に誰が想像できたでしょうか。
妻であるメイベルさん。
私がオランダに来たのは2002年でしたから、オランダ語もちょっとはわかるようになり、まさに、この2人の結婚式のときの様子も生でみていたのですが、そらさんがおっしゃるように、メデイアは彼女に対してかなり冷たい扱いでしたよね。
元マフィアの女って。
私も、報道される彼女のこのような一面だけを聞いて、(あとは聞き取れなかっただけかもしれませんが、、)この人、ぜったい悪女、みたいに思っていました。
でも、彼女の他の一面、人権問題などに献身的にかかわり、現在も活躍されていることは詳しく知りませんでしたし、また父親を事故でなくされているとは、今回そらさんの記事を読むまで、全く知りませんでした。
そらさんがおっしゃるように多感な年頃で、父親の死亡は彼女にかなりのショックを与えたと思うし、母の再婚も素直にうけいれられなかったと思います。新しい父親との関係も悪かったのなら、そのような少女期の経験が彼女の人生にかなりの影響をあたえ、交友関係や恋愛がうまくできなかったりといったことがあったのかもしれません。
そうやってみると、王子と彼女の結婚は、オランダ中を敵に回しても、彼女が自分ででつかんだ幸せじゃないか、祝福してあげようという気がします。それで今回の夫の死。本当に悲劇のヒロインというか、波乱万丈の人生ですよね。
でも幸い2人の娘さんに恵まれているし、彼女のもちまえの強さと有能さでこれからの人生を前向きに歩んでほしいと思います。
| | 2012.02.27 06:15
このコメントは管理人のみ閲覧できます
そらのくも | URL | 2012.02.28 00:44
☆ ふうせんさん、

お返事遅くなりました。
私は「会見は金曜日」と聞いた時から、あぁ、ダメなのかな、と思っていました。
だって、もしそれほどひどくなければ、金曜日までに意識回復して、会見時に
「今、自分でトイレにいけるようになりました」なんて言ったら
国民を心配させて~!!て怒られてしまいそうですからね。。。

ふうせんさんも2002年にオランダにいらしたのですね。
それで、オランダ語がちょっと分かるようになり…と、、、素晴らしい~です。
私はその頃「仕事では必要ないし~」とオランダ語を避けて生活を送っていました。はは…。まずい…。
オランダのメディアは、王室関係とサッカー関係にはうるさい、って感じですよね(苦笑)。
トーク番組なんかを見ていると、興奮すると皆が一緒に話し始めるので、
「なんだ、これは?」と驚いてしまいます。いまだに慣れることがありません(汗)。

今後、皆さんが、どのようにして生きていかれるのか…ですね。
いつまでもオーストリアに王族揃っているわけにもいかないですし…。
ちなみにオランダにはこういった関係のあまり良い病院はないみたいです、、、が、
別の国での処置となると、女王様もちょくちょく顔を出すというわけにもいかないし、
大変です。メイベルさんも幼い子供もいて大変だと思いますが、本来の強さで
乗りきって欲しいですね。
そらのくも | URL | 2012.02.28 01:01
☆ 鍵コメさん、

コメントご指摘ありがとうございます!
なるほど、麻薬王との関係がまずいのではなく、ウソをついたことが
問題だったのですね。ウソ、、、については、彼女一人でウソをついたのでしょうか?
それとも二人で示し合わせて???
いずれにせよ、それで王位継承権を放棄すると決意したフリーゾ王子は寛大ですね。
離婚歴のあるいわくつきの女性と結婚したイギリスのエドワード8世
になんとなく通じるような気がします。

雪崩の予報が出ていた、、、とは最初から言われていましたね。
どうしてなんでしょうね。無防備な若い人、というわけでもあるまいし。
幼い娘さんたち、うちの娘と同じ年なので、重ね合わせてしまうところも
ありますけれども、本当に、健やかに成長していって欲しいです。
台湾人 | URL | 2016.03.07 14:15 | Edit
私も自分にはかなり多くの問題を抱えながら、31年も精神的に満足できない波乱万丈な日々を送ってきたので、メイベル氏の過去について兎角に言うつもりはありません。

人間は恋に落ちている時、理性と冷静さを保てないケースが殆どなので。彼女が論争的な人物と交際したのも多分それが原因だと思います。

そらのくも | URL | 2016.03.13 05:25
☆ 台湾人さん、

さいきんはオランダの新聞をさぼり気味に見ていないので…メイベルさんと子どもたちがどうしているのかちょっと追えていませんが、この方はどちらかというとワーキングウーマンのようでロイヤルファミリーとは今はほとんど関わりがないのかもしれませんね。私はどちらかというと何事も情熱的には行動できないタイプなので、恋は盲目とか波乱万丈とか、、、ちょっと憧れてしまうところがあります。

台湾人 | URL | 2016.03.21 10:11 | Edit
そらのくもさんへ

私は凡才というか愚人なのでメイベル女史やノルウェーのメッテ=マリット皇太子妃のような有能で強い女性にすごく憧れているし、二人の皇太子も彼女たちと結婚するためなら王位の継承権を諦めても構わないと公言したので、本当に感涙を催すいいエピソードだと思います。

ヨハン皇太子が事故に遭ったオーストリアだけでなく最近はフランスのスキーの名所でも雪崩が起きて何人かの命を奪ったそうです。
そらのくも | URL | 2016.03.22 03:42
☆ 台湾人さん、

最近でいうとジョージクルーニーの奥様などもこの系統なんでしょうね。同じような人権派ですし。美しくて強くて有能で…色んな困難にも負けず乗り越えていく力強さ、このひとかけらでもいいから私も欲しいなあと思います。オランダ王室も最初もメイベルさんに対して非常に悪い印象があったようですが、最後には打ち解けている姿にはちょっと感動しました。ヨハンフリーゾ王子は結局亡くなり、今お母様であるベアトリクス元女王のお住まいの近くの教会に葬られているそうですが、このエピソードもメイベルさんとベアトリクス女王の絆の強さなのかな、と思いました。

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